アリステア・バート インタビュー:ワールドチョコレートマスターズ決勝
アリステア・バート インタビュー:ワールドチョコレートマスターズ決勝
ワールドチョコレートマスターズの大会は、ショーケースであると同時にスペクタクルでもあります。国際的なシェフが、地元のチョコレートアカデミーや ''ゴッドファーザー/マザー'' のシェフと協力しながら、1年、時にはそれ以上の期間をかけて練習と競争を重ね、アイデアを練り上げ、腕を磨いていきます。その旅の終着点が、技と感動が披露される3日間の過酷なファイナルです。私たちは、彼らが真の芸術作品と革新的な作品を作り出し、彫刻家として、またシェフとしての技を披露するのを目にすることでしょう。激しい戦い中で、これまでに見たこともない独創的なチョコレートやお菓子が生み出されます。独創的な味の組み合わせから、創作された道具や材料に至るまで、シェフたちは最高の仕事をするのです。
ごく普通のランナーが過酷なトライアスロンを観戦したり、趣味程度のテニスプレーヤーがオリンピックを見て感動するのと同様に、私たちもゲームの頂点で全力を尽くし結果を出す人々を見ると、心に火がつきます。可能性を知り、自分が情熱を注いでいることをより深く学び、同じ情熱を共有する人々のコミュニティとつながっていることを実感するのです。
先日、カカオバリーアンバサダーのシェフ、アリステア・バートに、10月末に開催されたワールドチョコレートマスターズ決勝の審査員の経験について、インタビューする機会がありました。
他の審査員同様、シェフアリステアも素晴らしい才能と情熱、そして経験を備えています。現在ハロッズのシニアヘッドペストリーシェフである彼は、非常に高いレベルのペストリー、チョコレート、ベーカリーの知識を持ち、また製造、厨房、チームを率いるという実践面にも精通するシェフです。そして2015年のワールドチョコレートマスターズのファイナリストでもあります。きっと興味深い話を聞くことができるでしょう。
聞き手: 会場はどんな感じですか?サロン・デュ・ショコラは大きなイベントです。他のイベントもご覧になりましたか、それとも大会に集中していましたか?
審査員も出場者も朝6時から夜の10時か11時まで会場にいて、競技は他のイベント会場とは別の場所で行われます。熱気にあふれ、みんなが競技だけに集中している雰囲気です。
聞き手: 審査員にとって長く激しい日々でしょうが、出場者にとってはどうでしょうか?長い一日の終わりに、エネルギーレベルが下がっているのを感じますか?
少しも感じません。このファイナルに出場するために旅をしてきた選手もいますし、何年もファイナルに向けて努力してきた選手もいます。観客の中にはシェフの友人や家族もいて、声援を送ってくれる人も多いのです。
聞き手: 長い一日で、会場が一日中チョコレートの香りに包まれ、ボンボンやペストリーを試食し...... ようやく夕方に仕事が終わり、ディナーの時間です。サラダが食べたいですか?それともパリ市中に出かけますか?
塩気のあるものは高い需要があったので、審査員の休憩室にブルーチーズがあったのはうれしかったですね。
聞き手: 今年の大会のテーマは「#TMRW_TASTES_LOOKS_FEELS_LIKE」で、チョコレートの未来、サステナビリティ、環境保護がが要素となりました。テーマに沿ったもの、例えば道具、製法、食材など、注目すべきものはありましたか?
地元産の食材を目にしました。原材料の一部を自分たちで栽培していた選手もいました。ユック・クルセイジャス(スペイン)は、#トランスフォームの課題作品でブリオッシュの切れ端を使ったドリンクを作っていました。サステナブルなパッケージも多く見られましたし、発泡スチロールの代わりにコルクボードを使って、商品を運んだ選手もいました。
聞き手: それは必要性(コスト、輸送)から来るものだと思いますか?それとも革新の一形態として捉えているものなのでしょうか?サステナビリティへの配慮でしょうか?
実用的であることは間違いないです。使用する道具や持ち物を厳選する必要があります。巨大なものは持ち運びたくないですからね。出場者が本当にクリエイティブになっているのはこの点です。
聞き手: 多くのシェフや経営者がこの大会を見て、「私には到底できない 」と言っていますが、そんなことはないですよね?大会で使用される革新的なテクニックを見ることで、シェフは手持ちの器具を使った可能性について考えるようになります。
その通りです。アマウリー・ギション(審査員長)でさえ、代替策は必ずあると言っていました。高価なものを持っていなくても、方法を見つけることはできます。
ラス・セイヤーのキャラメル カッシュ プティ ガトーは特別な器具を使いません。一般的なキッチン用品を使った型作りをご覧ください。
聞き手: その逆はどうでしょうか?特殊な工具を必要とするような、注目すべきものはありましたか?
多くの出場者は、展示用のために特注の型を作っており、私たちも特注の型や道具を目にしました。クリストフ・ルル(アメリカ)は、凍らせてジャンドゥーヤに使用し、スタンプとカットを同時に行う特注の道具を持っていました。チョコレートワールドは、大会用に特注のボンボン型をシェフたちに提供し、シェフたちの創造性を大いに発揮させました。
聞き手: 印象に残った味の組み合わせや、面白い食材はありましたか?
キム・ドンスクシェフ(韓国)は焼酎をお菓子に使っていて、私はとても気に入りました。田中二郎(日本)は柚子とチョコレートを組み合わせていました。今ではおなじみですが、とてもうまくいっていました。それから賛否両論があるかもしれませんが、アンナ・ジェラシー(イタリア)のオリーブオイルとレモンのボンボンが私は気に入りました。人によっては少し平凡だったかもしれないため賛否両論と言いましたが、本当によくできていました。アントワーヌ・カレリック(フランス)のボンボンは、そば粉の使い方が際立っていて、非常においしかったです。
ワールドチョコレートマスターズのウェブサイトでは、大会のハイライトや各シェフのレシピを視聴することができます。
*シェフアリステアの回答は、理解しやすくするため、また出場者と作品についてより詳しく説明するために、意味が拡大された箇所があります。誤りがあった場合はチョコレートアカデミー™の責任となりますので、ご質問やご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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